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Exhibitions

 




UPCOMING EXHIBITION

 

白木 麻子
「 Water Mirror 」


2025年6月13日(金) - 7月27日(日) 


 

 

Melting into color, 2023
Pigment print, 89.5 x 126.5 cm

 

Evergreen, 2023
Glass, essential oil, silver

Gallery 38では、6月13日(金)より白木麻子の個展「Water Mirror」を開催いたします。

現在、ドイツ・ベルリンを拠点に活動するアーティスト白木麻子は、木をはじめとするさまざまな素材を用いた彫刻や、 自然物などを別の知覚世界にいる他者として取り入れたインスタレーションを制作し、静謐ながら強いメッセージ性を 持つ作品によって高く評価されてきました。 もともと日本で彫金を学んでいた白木は、金属という素材から木へと関心を広げ、木工を用いた彫刻作品から作家とし ての活動を始めます。ドイツやフランス、デンマーク、韓国など、さまざまな場所で滞在制作やリサーチを行いなが ら、次第に素材をコントロールして造形を生み出すことよりも、オーガニックな要素に内在する偶然性や抽象性を作品 に取り入れるようになったといいます。

ある時期、白木は木の枝のかたちを通して印象的な出来事に遭遇します。いつも通る道に落ちていた枝が目に留まり、 それを集めていた白木は、頭上に鳥の巣があることを発見します。作家が美しいと思って拾った枝と、鳥が巣を作るた めに合理性をもって集めた枝が交差したその瞬間に、異なる世界が接点を持ち、同じ時間にそれぞれの世界が存在して いたという多層性が立ち現れます。そしてその瞬間、人は永遠に重ならない他者の時間や世界を、目線をほんの少しだ け借りるように体感することができる、という気づきがもたらされました。 かつては、木材などの特定の素材の造形を中心として制作を行っていましたが、次第に日常の中で得た感覚や自身の内 面を作品に反映するようになり、特にパンデミック以降、主観では捉えにくいもの──他者の世界──を想像すること の大切さを強く感じるようになったと語ります。鳥の巣や小枝を通じて自分の知らない視点に気づかされ、作品をつく るという行為自体が他者を想像するための手段となり、他を理解しようとする行為のメタファー、知の及ばない世界を 開示するツールとして、自然物を含む異なる知覚世界を持った存在の要素が多く作品に登場するようになりました。 この「他者の視点」への関心と気づきは、白木が世界各地で制作を続けてきた中で獲得してきた、世界の実感に基づい ていると言えるでしょう。「移民」としての感覚、文化や歴史が形づくる個人のアイデンティティ、そして他者との関 係性の中で生まれる緊張感。特に北ヨーロッパ特有の、内面と向き合う自律性とともに、土地が持つ時間の感覚や自然 観を観察し、自身の中にある東洋的な感覚との差異を相対的に捉えることで、世界とのバランスを見出そうとしていま す。

今回、Gallery38では新作《Rooted in time, memories in bloom》を含む7点が展示されますが、その中のひとつ 《Evergreen》は、こうした意味で白木の新たな試みを表現する作品と言えるでしょう。「『記憶』を呼び覚まし (recall)、新しい意味を『再生』(re-generate)していく作品」と作家が語る本作は、韓国と日本という二国間の歴 史的関係、そして韓国人の夫をもつ作家自身の家族の記憶という文化人類学的アプローチを用いながら、「蒸留」とい うテーマを軸に、写真作品、映像作品、21gの精油を注いだフラスコ、チェーンなどを用いて構成されています。かつ て視覚障害者との関わりの中で、視覚的情報に限らない「美しさ」の概念とは何か、という問いを持ったことや、コロ ナ感染後に一時的に嗅覚を失ったことをきっかけに香りと記憶の関係に改めて意識を向けた白木は、「蒸留」という現 象を象徴的に用いることで、放たれる香りが鑑賞者の感覚と記憶に作用する作品を生み出しました。元来、自身が造形 する目的は、鑑賞者の心のどこかに見えない世界として作品が残ること、という白木にとって、エッセンシャルオイル を抽出するプロセスと彫刻を象るプロセスの中になんら矛盾はありません。そのようにして白木の作品は素材と形態を 変えながらも個人の内面性から大きな物語までを語る作品へと発展しています。

「私は常に世界のどこかで、今この場所からは想像の及ばない問題に直面している人がいるという事実に、ほんの少し でも寄り添うことを目指している」という作家は作品制作を通して、「他者を想像し、まだ知らぬあなたに少しでも寄 り添えることを信じて、霞の向こうに歩を進めていきたい」と語っています。

 
 

白木 麻子

1979年 東京生まれ、現在はベルリンと東京を拠点として活動

主な展示に、「Neuköllner Kunstpreis 2025」(First Prize受賞、Galerie im Saalbau、ベルリン・ドイツ、2025)、 「Evergreen」(国立現代美術館(MMCA)チャンドン、ソウル・韓国、2023)、「The wind blows in」(大和日英基金ジャパ ンハウスギャラリー、ロンドン・イギリス、2022)、「A warm trail」(M100、オーデンセ・デンマーク、2020)、 「Your Voice, Echoed」(Cultural Center of Belgrade Art Gallery、ベオグラード・セルビア、2019)、「DOMANI明日・ 21th 平成の終わりに」 (国立新美術館、東京、2019)、「The Other Face of the Moon」(Asia Culture Center (ACC)、 光州・韓国、2017)、「The Pleasure of Love, 56th October Salon」(Cultural Centre of Belgrade賞受賞、Belgrade City Museum、ベオグラード・セルビア、2016)、「ポーラミュージアムアネックス展」(ポーラミュージアムアネックス、 東京、2015)、「On the floor, Behind the window」(Künstlerhaus Bethanien、ベルリン・ドイツ、2014)、「A Time for Dreams, the 4th Moscow International Biennale for Young Art」(Museum of Moscow、モスクワ・ロシア、2014) など。

2017 Painting Symposium, Galpón Patogénico, パタゴニア, チリ 2016 ARNA Residency, スウェーデン / JEMA 2016

 

展覧会情報:

白木 麻子

” Water Mirror “
会期: 2025年6月13日(金) - 7月27日(日)
作家在廊: 6月13日(金)
オープニング・レセプション: 6月13日(金) 18:00 - 20:00
開廊時間: 12:00-19:00
休廊日: 月、火、祝日
会場: Gallery 38


同時開催:
“ I Heard You, Still ”
会期: 2025年6月7日(土) - 6月29日(日)
会場: CAPSULE (世田谷区池尻2-7-12 B1F)
土曜日・日曜日のみオープン
開廊時間: 12:00-19:00 


 

 

PAST EXHIBITIONS