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油井 祥子 
「 境界に至る 」


2026年4月4日(土) - 5月17日(日) 

 

滲む狭間 / In the Seeping Interstice, 2025
60.6x91 cm
Oil on canvas
Photography: Keizo KIOKU

 


足早に過ぎゆく日常の中で、ただ流れていくだけの景色の中にある遠ざかる灯りと
そこに住む出会うことのない人々の営みを想像しながら描くことで
一瞬の記憶を確かなものにできると思っています

移り変わる季節や空の色と、薄れていく温度の記憶や感じていた想いを留めるために絵画にしています


油井 祥子 

Gallery 38では、4月4日(土)より油井祥子の初個展「境界に至る」を開催いたします。


油井祥子は、長野を拠点に活動するアーティストです。2019年に東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業し、2023年以降、長野や東京を中心に作品発表を行っています。2025年には小諸高原美術館(長野県小諸市)にて個展「この色を惜しむ前に」を開催し、その際にはKoumi Artist in Residence (KAIR)に滞在しながら制作を行いました。

油井の作品は、学生時代から一貫して、大きな空と地平線によって構成された風景を主題としています。22cm程度の小品から、つなげると幅10メートルにも及ぶ連作まで、その大きさはさまざまですが、これまで優に50点を超える作品のほとんどにおいて、空と大地というシンプルな構図が繰り返し描かれてきました。その写実性は見る者を圧倒しますが、そこには重さや緊張感よりも、どこかからりとした清々しさがあり、広がる空と風景が、まるで呼吸を促すかのような感覚をもたらします。

油井が油彩による風景画を描き始めたのは、高校時代の美術教師の影響によるものでした。自分が惹かれてきた故郷の風景と重なったことで、予備校時代や美大時代にも描き続けてきたといいます。極めて一貫したモチーフを持つことについて、「もっと特別なものを描いた方がよいのではないか」と迷いを感じた時期もあったといいますが、大学という枠組みの中で感じていた他者との比較や評価から解放されたことで、よりまっすぐに風景と向き合えるようになったと語っています。画面のもととなるのは写真ですが、どこか特定の場所を記録したものではありません。地元・長野の風景を背景としながらも、「どこでもない場所」が選ばれています。わざわざ撮影に出かけることはなく、そのほとんどは通勤途中の高速道路の車窓や、新幹線の車内から撮影された、日々の移動のなかで偶然出会った風景です。その移ろいのなかの一瞬を写真として切り取り、絵画として丁寧に描き起こします。空や山、雲、その連なりというのが画面を構成する主な要素ではありますが、雲の移ろいや空の表情に着目し、画面の大半をそれらが占める作品もあります。そこからは、油井自身が風景の中で上下左右に視点を移動している感覚を追体験することができます。

彼女を惹きつけているのは、流れていく世界と、そこにあり続ける空の関係性です。視覚の上部にある空は動きませんが、その下に広がる街並みは、作家の移動に合わせるかのように流れていきます。車窓から見える風景の中にいる人々と出会うことはありませんが、だからこそ、知り得ぬ人々の生活を想像することができるといいます。自分の原点である故郷の風景でありながら、その風景の「中にいる」のではなく、窓ガラスやカメラなどのレンズやスクリーンを介し、どこか傍観するように遠くから見る視点こそが、油井の風景の「見方」なのでしょう。そこから生まれる絵は、特定の心象風景でも、ノスタルジーでもなく、浮かび上がってくるのは、ある景色を淡々と見つめ、描き続ける油井の作家としての姿勢です。彼女の描く風景は、ある意味で「窓」のように機能し、キャンバスという枠のなかに映し出される極めてシンプルで写実的な風景は、見る者によって抽象的にも感傷的にも感じられます。それは、私たちが広大な風景をどこか非現実のように、あるいは非常に個人的なものとして見つめる、流動的な視点と重なります。見る人によって、ある時には朝の風景に、別の瞬間には夜の景色に見えることもあるように、どのように記憶や感情と強く結びつくかは、鑑賞者に委ねられています。

油井が風景を描き続けるのは、「毎日見送る太陽、移り変わる季節と空の色に思いを寄せ」、一瞬の出来事を絵画とすることで「薄れていく記憶や感じていた想いを留める」ためだ、といいます。そこに描かれるのは静かな風景でありながら、そこに留まり続ける重さや不安はありません。むしろ、絵画が持ちうる軽やかさと解放があります。それは、作家の視点も、私たちの視点もまた移動し続けているからかもしれません。

「境界に至る」というタイトルには、空と地面の境界、その先にある風景へと辿り着こうとする思いが込められています。迷いながらも、好きな風景を「普通に描き続ける」という原点に何度も立ち戻る油井。その先にある風景を、私たちもまた静かに見つめています。


[ 油井 祥子 / Shoko Yui ]

長野を拠点に活動。2019年、東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。2023年以降、長野や東京を中心に個展や企画展を開催。
主な展覧会に「雪が解けたらなにになる?」(2023/ギャラリー1045佐久平、長野)、「油井祥子展」(2023/十一月画廊、東京)、
「この色を惜しむ前に」(2025/小諸高原美術館、長野)など。


展覧会詳細 :

油井 祥子 「 境界に至る 」
会期: 2026年4月4日(土) - 5月17日(日)
開廊時間: 12:00 - 19:00休廊日: 月、火、祝日

作家在廊日: 4月4日(土)
オープニングレセプション: 4日(土) 18:00-20:00


会場: Gallery 38
東京都渋谷区神宮前2-30-28
tel: 03-6721-1505
email: contact@gallery-38.com

 

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