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Past Exhibitions

Akiko Horiuchi

セシリア・アンドリュース
「 Wondering and Looking 」


2025年4月17日(木) - 6月1日(日) 

 

Art is an invisible resource, 2025
37x25,5 cm
Image rights ADAGP, 2025 Cecilia Andrews

 

Photography: Osamu Sakamoto

Gallery 38では、セシリア・アンドリュースの日本初個展「Wondering and Looking」を開催いたします。

ペインティング、彫刻、ドローイングなど、さまざまなメディウムを用いながら、独特の色彩感覚で生み出される作品。 その背景には、作家自身の生い立ちや、国家間の移動を伴いながら育まれた感性と世界観が大きく影響しています。

1969年、南米・チリに生まれたアンドリュースは、左派の政治活動家や知識人、芸術家が集うコミュニティで幼少期 を過ごしました。軍事独裁政権がはびこる混乱に満ちた政治的・社会的状況の中にありながらも、豊かな自然に囲ま れ、親密でリベラルなコミュニティの中で育った時代を「美しい幼少期」と振り返ります。こうした経験が、彼女の自 然への関心を育み、それを描くことへと導きました。同時に、身の回りの平穏や美しさと、政治がもたらす残酷さや悲 惨さという対極的なものが共存する矛盾が、彼女独自の世界に対する視点をもたらしました。20代でパリに移住したア ンドリュースは、芸術と自由の地・フランスでアートを貪欲に学びながら、世界を旅し続けます。「自然は私にとって 芸術的思考の原点であり、今も最大のインスピレーション源である」と語る彼女にとって、さまざまな文化、宗教、哲 学、風景に触れることは創造の源となり、作品へと還元されていきました。作品を通じて、彼女は視覚的相互補完や二 項対立について繰り返し言及します。例えば、都市と自然、抽象と具象といった対比から、一つの作品の表面における 素材同士のコントラスト―――例えばざらついた石膏とつるりとしたレジンのテクスチャー――にまで及びます。そこ には「均衡」を追求する彼女の姿勢が見られ、相反するものを衝突させながら中立点を探る行為は、一見するとパラド キシカルなアプローチですが、世界の発見と矛盾を知ることから人生が始まり、それらが形を変えてあらゆる国や場所 に存在することを学んできた彼女にとっては、ごく自然なものでした。作家はその過程を通じて、混沌の中の調和を探 し続けます。

彼女の作品には、手や頭部など人体の一部分が、さまざまなメディウムと色彩を用いて繰り返し描かれています。それ らの表現は非常に抽象的でありながらも、象徴的です。Black Lives Matterに見られる近年の人種的ムーブメントとの 関連性も指摘できますが、むしろ、それはアンドリュースが一貫して追求してきた「矛盾」を表現するためのモチーフ として機能しています。つまり、本質的には同じであるはずの人間が、共感や愛情を持ち得る一方で、他者や未知の文 化、多様性に対して無知であり続けることができるという矛盾。その矛盾をも肯定する人類の大きな愛について語るた めの「私たちの人間性を想起する手段」として、人体のモチーフが登場するのです。また、彼女の作品には、点字用紙 が素材としてたびたび用いられます。今回の展覧会では、新たにアルミに点字を印字したものが素材の一つとして使用 されています。一般には馴染みのないこのメディウムとの出会いは、以前友人からフランス版のナショナルジオグラ フィックともいえる雑誌『Geo』の点字版をもらったことに端を発します。本来であればグラビア誌を埋め尽くすはず の雄弁な写真の不在、そしてそこに広がる無数の突起。それは「イメージ」について彼女に再考を促し、視力を持ちな がらも、私たちは本当に周囲を「見て」いるのかという問いを立てる契機となりました。こうして、「盲目性」につい ての考察が作品に組み込まれ、指先の触覚や視覚といった言語を超えたコミュニケーションへの祈りが表現されるよう になったのです。

盲目性、人間の肖像、異なる素材や色彩のぶつかり合いから生まれるバランスは、必然的に人類の平等性(Equality) についての問いへとつながります。今回の展覧会では、空間の中での作品の配置にも細心の注意が払われました。アン ドリュースは、作品同士のスペースが生み出す新たな対話が、日本という異なる文化圏にいる観客にどのように作用 し、そこから生まれる新しい調和とは何かを問いかけます。

「Wondering and Looking」という展覧会のタイトルが、彷徨いながら「見つめる」ことを私たちに促しているのです。

 

セシリア・アンドリュース
現在はフランス・パリにて活動している


1969年  チリ生まれ

1995/96年 
吹きガラスコース,  Fundación del Vidrie 、バルセロナ、スペイン

1994年 
吹きガラスコース ( Xavier de Mirbeck に師事 )、パリ、フランス

1993年 
美術修士号取得 ( 絵画専攻 ) ディプロマ取得、Pontifical Universidad Católica、
サンティアゴ、チリ

1991年 
美術学士号取得 ( DNAP ) 取得、Pontifical Universidad Católica、
サンティアゴ、チリ

展覧会詳細:

セシリア・アンドリュース
「 Wondering and Looking 」


会期:2025年4月17日 (木)  –  6月1日 (日)
開廊時間:12:00 − 19:00
休廊日:月、火、祝日、5月17日(土) 
会場:Gallery 38

 

後援:在日フランス大使館  / アンスティチュ・フランセ